バンコクお仕事日記。脱・化学調味料を目指して。バンコク・スクンビット69『沖縄食堂 金城』②

前々回の記事『バンコク・スクンビット69『沖縄食堂 金城』①』の続きです。

 

この『バンコク沖縄料理 金城』の薬膳メニューズバリ、ざっくり言うと『夏のダイエットメニュー』です。
その効果は?というと、このメニュー開発を始めてから1ヶ月ほど、大高さんはこのメニューをいろいろな組み合わせで食べていたのですが、な、なんと6キロ痩せたそうです!!!

 

『バンコク沖縄食堂 金城』のメニューを考える際、

 

①年間を通して気温が高く、雨季と乾季に分かれるバンコクの気候と、そこに生活する外国人、タイ人の体とのバランスが整う薬膳であること。
②現在のバンコクが抱えている問題でもある成人の生活習慣病を予防、改善に向かう薬膳であること。
③1日100組はお客様が来る食堂を4、5人のタイ人のコックによって動かしているので、極力仕込みなどの手間がかからない調理法
フードロスが出ないよう、食堂で常に使われている食材(さらにタイで入手できる食材)を使い、調味料は天然のものを使うこと。

 

この4点は重視しました。
あとひとつ、大将である大高さんが無理な糖質制限ダイエットや経営に関わるさまざまなストレスによって、体調を崩し気味だという問題もありました。まだまだあと30年はこの店に立ち続けたいという願いもある大高さん。自分の店のお料理で体質を改善できれば嬉しいとのこと。

 

通常の営業時間の比較的空いている時間帯に料理長のノックさんにレシピを伝え、作ってもらい、試食しながら決めていきました。このノックさんの理解力、調理能力がスゴイ。日本語で書き出したレシピを大高さんがタイ語でノックさんに伝える。ノックさんは小さなメモ帳にそれをサッと書き留める。二人とも立ったままの1分にも満たないやりとりです。
しばらくすると、試食用の料理が出てきます。その完成度の高さ!塩少しとか醤油適量などすごく曖昧な指示も多かったのに、ズバリおいしい。中には、うまく伝わらなくて、料理段階で、「お、それは違う違う」と慌てるということもありましたが、ほぼほぼスムーズに3日間、ひたすら、このやりとりを続けました。その間、私はほとんどちょっとだけの試食のみで過ごしていたので、いつも空腹状態でしたが、大高さんはほとんどの試食を完食。いや〜、そんなに食欲あったら、太るよね〜とも思ったのだけど「おいしい。体に効いていく気がする」とバクバク食べてくれたので嬉しかった。
実はその3日間の試食で効果があったようで、最終日には体が軽くなったような、嫌なものが体から出ていってスッキリした感じがすると言っていました。ゴーヤや冬瓜など、比較的早く効果が現れるような食材も多かったですからね。しかもあれだけ食べれば。

 

 

灼熱の調理場。沖縄そばの出汁スープを仕込んでいる大きな鍋。右は料理長のノックさん。この人の能力がすごすぎる。

 

カウンターに籠っての作業

カウンターに籠っての作業

これはタイ産のゴーヤでの試作

これはタイ産のゴーヤでの試作

こんにゃくのサイコロステーキ。レモンと風味づけの少量のバターが良い仕事をします。

こんにゃくのサイコロステーキ。レモンと風味づけの少量のバターが良い仕事をします。

こんにゃく、人参とセロリのシリシリ。個人的にこれはすごく好き。自分でも夏場はよく作ります。

こんにゃく、人参とセロリのシリシリ。個人的にこれはすごく好き。自分でも夏場はよく作ります。

ゴーヤのひき肉詰め。タイの豚肉は嫌な臭みがなく、肉らしい噛みごたえのありすごく美味しいのでフレッシュなゴーヤと合わせて美味になります。

ゴーヤのひき肉詰め。タイの豚肉は嫌な臭みがなく、肉らしい噛みごたえのありすごく美味しいのでフレッシュなゴーヤと合わせて美味になります。

ゴーヤとセロリの甘酢和え。大高さんのお気に入り

ゴーヤとセロリの甘酢和え。大高さんのお気に入り

へちまとキクラゲ、豚肉の炒め物

へちまとキクラゲ、豚肉の炒め物

緑豆とはとむぎのご飯

緑豆とはとむぎのご飯

小豆と緑豆、ハト麦の豆乳ココナッツミルク

小豆と緑豆、ハト麦の豆乳ココナッツミルク

 

薬膳メニューとして下記のような効能を期待出来るよう考えました。

⒈苦味のある食材を適量に使う

⒉暑邪による心の機能失調を防ぐ。

⒊暑さによる津液と気の消耗を回復し夏バテ防止

⒋湿邪の影響、冷たいものの摂りすぎなどによる脾胃不調を改善する

⒌湿邪の影響、冷たいものの摂りすぎなどによる気の流れが停滞して起こる、症状を改善

 

※さらにバンコクの風土とタイ人の嗜好からみての注意点

①『肥甘厚味(ひかんこうみ)』を避ける
肥=脂肪、甘=自然ではない極端な甘いもの、厚=味の濃いものをできるだけ避けるという中医学の概念です。
この肥、甘、厚は体内の余分な水分(湿邪)を消化器官に停滞させ、消化不良、むくみや夏太りを起こさせ、大きな病気にも繋がっていきます。

②バンコクは特に、室外と室内の温度差が激しく、それだけでも体調を崩しやすいとも言えますので、生姜や葱、にんにくなどを使って、冷やしすぎないこと、冷たいものを食べ過ぎないこと、また一枚羽織れる上着などを持つように心がけるのも重要だと思います。

 

実際、オーナーの大高さんが1ヶ月ほど食べ続けてダイエット効果のあった薬膳メニュー。バンコクにお越しの際は是非『バンコク沖縄食堂 金城 まで足を伸ばしてみてください!

これからも新たなメニューや改善も含め、がんばりま〜す。

改めて、ノックさんをはじめ、たくましくも可愛らしいスタッフの皆さん、本当にありがとう!