『村留ハーブ園』さんのこと。自然農法と無農薬野菜

鹿児島県志布志市の村留ハーブ園さん

現在、『ヤフーストア SUAY』で取り扱っている無農薬ハーブティーを作ってくださっている『村留ハーブ園』さんのことについてです。

村留さんとの出会いは、国際薬膳師の勉強に励んでいた2016年、国内で栽培されている無農薬の生薬がないものかとネットなどの情報を貪っている頃でした。鹿児島県志布志市の太久保酒造のコンサルティング業務をしていて、東京と志布志を行ったり来たりの忙しい毎日を送っている相方から「志布志で自然農法で無農薬野菜を作っている村留さんという農家さんがいる。嫁がネットショップを運営していて薬膳師の資格を取るため勉強している話をしたら、自分たちが作っている無農薬のハーブティーを東京の人にも紹介してほしいから一度話をしてみたいそうだ」というような話を聞いて、相方の出張について、初めて志布志の地を訪れ、村留さんの畑に伺いました。
高台にある荒涼とした土地にある畑やハーブ園を案内してもらい、村留さんの『口に入るもの』への安全、安心に対する信念を伺い、ハーブティーを頂きました。喉に引っかかる異物感がなく、まるで最初から自分の体の一部だったかのように体を通っていくハーブティーの初めての感覚は、今でも忘れられません。

下記は『ヤフーストア SUAY』でも公開している『村留ハーブ園さんのこと』の転載です。こちらでも読んでいただいて、少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。8月から東京・有楽町の交通会館マルシェで月1の頻度で出店させていただくことになりました。また有楽町でも、多くの皆様に試飲していただいて、『村留ハーブ園』さんのこと、自然農法のことを知ってもらえる機会が増えることを望んでいます。


光あふれ、美しい湾岸線が続く鹿児島県志布志市。アジア地域との物流船が行き交う港町に『奇跡のハーブ園』があります。

村留ハーブ園。30代を目前の頃、村留千波さんは1町6反もの田畑を親から譲り受けた。そして自分達の手で家族を守るために、完全自然農法を目指し始める。そうそう簡単なことではなかった。完全に農薬を取り除くために一から土を作り直す。その期間約10年以上。

機械を入れず、草取りもすべて手作業で行う。

動物系肥料は一切使わず、独自開発した植物系肥料(鹿児島県鹿肥66号アブラギリ植物堆肥)を使用、完全無農薬、完全自然農法でじっくりと丁寧に作り上げられた野菜やハーブたち。それは、そのものの「生命力」をはっきりと感じられる「強く・優しく・綺麗」な味です。

「ほんまもん」の自然農法

「早く、大きく育て、たくさん収穫できるよう作物を実らせるために、化学肥料を多く与える。病害虫は農薬でふせぎ、大量生産する。それを人が口にする。その連鎖に疑問を持ったのは、家族に体調を壊すものがいたから。結局、農薬だらけの作物を食べていたら、人間も薬漬けになってしまう。農薬の必要のない、『健康な作物』を育てるために自然農法をはじめました。」村留さんはそう語ります。「ハーブ園の土も畑の土も作り直すのには10年以上かかりました。大量の肥料を加えて作物の生育を急がせては『味わいのある健康な作物』が作れません。地力にまかせるためには相応の時間が必要でした。」そう続けながら、村留さんは広大な田畑を案内してくれました。農薬を取り除いたあとも、立地が高台のおかげで、散布される農薬の害をほとんど受けることなく、作物は強く育つのだそうです。

ハーブ園から車で高台に上がっていくと一町六反(4800坪)もの村留さんの田畑がある。いわゆる雑草といわれる草も、作物とたくましく共存している
ハーブ園から車で高台に上がっていくと一町六反(4800坪)もの村留さんの田畑がある。いわゆる雑草といわれる草も、作物とたくましく共存している
自然の力にまかせているから、「あら、こんなところに菊芋が育ってる」なんてことはよくある。鳥たちのおかげ。

独自に開発した植物質堆肥を使うということ

村留ハーブ園の使用している堆肥はすべて自ら開発した植物系堆肥。「私たちの場合はアブラギリの実ともみ殻、米ぬか、ススキ、木酢液などで堆肥を作ります。時間をかけずに育てることが可能な動物系堆肥は、与えすぎると作物の光合成が間に合わずアミノ酸に変化しないまま、硝酸態窒素が作物に残ってしまう。それに対し、植物系堆肥は炭素系の堆肥。炭素は植物が好む栄養素です。時間はかかるけど、作物そのものの栄養素をしっかり保ちながらうまみのある優しい作物ができるのです。」と村留さん。

堆肥によって作物の質が変わる

同じ有機栽培の野菜でも動物系堆肥と植物系堆肥のどちらを使うかで作物の質は大きく変わると言います。炭素系肥料である植物系堆肥で育てることにより『作物自体に体力がある』作物ができる。だから病害虫被害も少ないそうです。加えて野菜が寒さに強くなるという特徴もあると言います。

ハーブ園をぐるりと囲むようにアブラギリの木が並ぶ。自然落下したアブラギリの実を作業の合間に拾っては集め、堆肥にする
ハーブ園をぐるりと囲むようにアブラギリの木が並ぶ。自然落下したアブラギリの実を作業の合間に拾っては集め、堆肥にする
堆肥用の干し草と濾過される前の放置した木酢液
堆肥用の干し草と濾過される前の放置した木酢液
何かの拍子で傷がついたカボチャも、カボチャそのものの自助能力で、傷を塞ぐ。
何かの拍子で傷がついたカボチャも、カボチャそのものの自助能力で、傷を塞ぐ。

有機ジャス認定をあえてとらない理由

「数年前、日本の有機肥料製造会社が、有機認定されていない原料の使用、成分不足や表示のない原料の使用、有機原料の割合が少ないなど内容を偽装した製品が多数見つかったという問題がありました。その肥料を使った農家が有機ジャス認定を失う可能性があるということで大問題になった事件です。その時、私はふと日本の有機ジャス認定自体に疑問を持ち、改めて勉強しました。」

それまでも、有機ジャス規格の脆弱性について不安視する専門家も多くいましたが、改めて正確に知るきっかけとなった事件だったと言います。

深く掘り下げていくうちに、そもそも有機ジャス認定を得るまでに、成分や有機原料の割合などの基準値があることに疑問を持ったのだそうです。例えば、できれば避けたい成分に対し、含有量が7だったら合格で8だったら不合格だというような基準を、人が口にする食物に対し、線引きをして認証を受けることに意味があるのか。できれば避けたい成分であれば限りなく0でなければいけないのではないか。

有機認定されている動物系堆肥に於いても、硝酸態窒素が蓄積されてしまい、人体に悪影響を及ぼすという問題がクリアにならないまま、グレーゾーンに収まっているという問題もある。

突き詰めるうち、有機ジャス認証を受けたと言って胸を張ることが出来ない、有機ジャス規格は必要ない、との結論に至ったと村留さんは語りました。

「あらためて徹底的に作物の安心、安全を求めたのは、孫がひどいアレルギー症を発症したり、がんを患う娘婿の存在があったから。それはもう、必死でした」

村留さんの作った野菜で、今ではお孫さんのアレルギー症も改善したのだという。

「自分自身が作物の安心・安全を求めているから、有機ジャス認定は必要ありません。志布志の本物『ほんまもん』を信念と志で作っていこうと心に決めています」

家族への愛が、今の村留ハーブ園を作ったのです。

アブラギリ堆肥の試験結果
アブラギリ堆肥の試験結果

「作物自体に体力のある、健康な作物」という言葉には心を打たれます。人間も同じで、いつも笑顔で、風邪もひかない。そんな素敵な人は食べることを真面目に捉えていて、だからこそ外的ストレスにもしっかり耐えることができているように思います。加工された食品でも、大量流通されている食材でもおいしいものはおいしい。食べたいものは食べたい。食べて良いのだと思います。基礎となる自分の体が、不要となるものを体外に出すだけの能力をしっかり持つことができれば。
並々ならぬ、信念と努力で作られていく村留ハーブ園の奇跡のハーブ。
「生命力」をはっきりと感じられる「強く・優しく・綺麗」な味のするハーブを皆様にご紹介します。

『ヤフーストア SUAY』

今年は菊芋をたっくさん植えていました!今後も定期的に『村留ハーブ園』さんの現況報告をしていきます。